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突然現れた先生にまとわりつく3人の子供たちは、僕たちに目もくれず「イヒイヒイヒ」と変な声を出しながら先生の身体に吸い付いた。
「誰か、こいつらを先生から引き離せよ……」
「やだよ……なんか、触りたくねぇよ……」
「蹴ったらいいんじゃね………」
「でも、なんか腹がブヨブヨしてるし………」
子供たちの身体は骨と皮だけでガリガリだったが、やけに下腹部が張り出していてお腹がブヨブヨした餓鬼のような姿だった。どの子供たちも背中に驚くほどたくさんの傷跡があり、肩やお尻には煙草らしきもので付けられた火傷痕が見えた。その手足は透明感があり橋の下で見えていた透明なブヨブヨしたものが彼らだと察した。
その動きは赤子のように遅く、目はついてはいるもののよく見えていないようだった。そして目の周りには酷い目ヤニとおそらく散々泣いたと思われる跡が見られ、子供たちの口からは大量のよだれが垂れていた。そして先生に吸い付きながら、ニヤニヤしているのが異様さを増した。
不思議なことにそんな子供たちを見ても怖いとは感じず、なにか哀れで可愛そうな生き物を見ているような気持ちになった。もはや先生から引き離そうと思うこともなくなっていた。
「なぁ………アブラトリ………実在するんじゃね……」
「俺もそんな気がする………」
「こいつら……アブラトリかな………?」
「なんか、思ってたのと違くね……?」
モゾモゾと動く子供たちが先生の身体から離れ、顔を挙げた瞬間、僕たちの目の前が薄っすらと透明感のある白い靄のようなもので包まれた。よく見ると、子供たちの口から薄っすらと白い靄のようなものが溢れ出ているように見えた。
「なんだ………霧か? なに…この変な靄……? 臭くね……?」
しばらくすると目の前がぼんやりと霞み、酷い空腹感に襲われた。
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