人間嫌いな怪物《モンスター》学者

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「どんなに質が良くても、私の肩書が学生っていうだけで、この“法術ミトン”は百ゴールドにしかならないのよね…」  クレイからミトンを奪い取り、彼女はそれを苛立ち紛れに元のかごへと突っ込む。 「これがたったの百ゴールドですか!?」 「うん」 「金が欲しいのか?」 「そりゃまぁ……」 「もしかして君は…法術学校の生徒なのかい?」 「そうだけど?」  ほんの少しだけ思案すると、クレイはダイアン(マリー)に「彼女にも手伝って貰いませんか?」と提案した。それを聞いた吸血猫(ダイアン)は、慌ててクレイの(すね)の辺りへガリッと爪を立てる。 「痛っ!!」 「気にするな。こやつは氷漬けにされたのをまだ根に持っているだけだ。わしはその案に賛成する」  そう言ってダイアン(マリー)吸血猫(ダイアン)の首根っこを掴み上げた。鋭い爪が虚しく宙を引っ掻く。 「何? 何の話?」 「ああ、すみません。実は僕達、今からある物を捕まえなきゃならないんですが、それを貴女に手伝って貰えないかと。お礼は弾みます」 「え!? お金くれるの!?」 「ええ」  クレイがニッコリ微笑むと、ジュリアは「ヤッター! やるやる!!」と言って飛び跳ねた。 「改めて、僕はクレイ=マチスと言います。そしてこちらが……」 「マ……ダイアンだ。そしてこやつがダ……マリー」  首根っこを掴まれたままの吸血猫(ダイアン)が、更に激しく暴れ出した。今の紹介で、ダイアン(マリー)が自分と入れ替わったのを、クレイに話していないのがハッキリしたからだ。 (おいっ! マリー!! どういうつもりだ!?)  抗議に対して、ダイアン(マリー)の目は恐ろしく殺気を放っていたので、途端に吸血猫(ダイアン)は大人しくなった。そんな彼らの様子に少し首を傾げる少女だったが、 「私はジュリア=プリムラ、ジュリアでいいよ!」 と、笑顔で握手を交わすのだった。
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