3rd Quest:モンスターの餌を確保せよ

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 下水口では、麻の袋を持ったクレイとダイアン(マリー)が張り付いていた。幸いなことに、その下水口には点検用の階段が設置されており、足の踏み場が用意されている。 「ジュリアさんの法術が上手くいったみたいですね。さっきから下水量が極端に少なくなってます」  下水口の中を覗き込むと、光が差し込む四・五メートル手前までは見えたが、少なくなった下水が流れるだけで、生き物のいる様子等は確認出来ない。 「それにしても、いいタイミングでジュリアさんに出会えましたね」 「?」 「マリーさんがモンスターの姿になっちゃいましたから、僕らの中ではもう魔法を使える者はいませんし」 「すまぬ……」 「やだなぁ、何でダイアンさんが謝るんです? マリーさんがモンスターの姿になってしまったのは、ダイアンさんのせいじゃないでしょう。それに彼女のせいでもありませんし、誰も悪く無いですよ」  そう言って笑うクレイの笑顔を見ていると、ダイアン(マリー)の胸は益々締め付けられた。 (魔法が使えぬわしの為にここまでしてくれていると言うのに……わしは今、クレイに正体を偽っておる)  そう思うと、どんなに自分が卑怯な行いをしているのかが浮き彫りになった。マリーとしてはただ、クレイに会いたい一心だったのだが。 「クレイ……実はな…」 「ダイアンさん、今何か聞こえませんでした?」  クレイが真剣な眼差しで口の前に人差し指を立てるので、ダイアン(マリー)は下水口内へ耳を澄ませた。盗賊であるダイアンの特性で、今のマリーには普通の人間の1.5倍程優れた聴力が使える。  ドゴゴゴゴ……  地鳴りのような音と、それに紛れて「グルルルル…」という獣の唸り声が、下水道の奥から聞こえた。 「これは……何かあったようだな」 「マリーさんは大丈夫でしょうか?」 「いや、あやつは問題無い」  食い気味の即答に少し驚いたクレイだったが、「二人は信頼し合っているんだな…」と謎の解釈をした。マリー的には、吸血猫の中身がダイアンだと知っているので、勿論“どうでも良い”という意味での『問題無い』なのだが。  地鳴りは次第に大きな音となり、同時に沢山の小動物の鳴き声と、それに紛れて「ギャギャギャーーー!!」という叫び声が、下水道中に響き渡った。 「何ですか今のは!?」 「奴だ! 来るぞ!!」 「え!?」
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