3rd Quest:モンスターの餌を確保せよ

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 ヤブランマウスが氷で動けなくなった隙に、ダイアン(マリー)とクレイは立ち上がり、水路の階段を昇ろうとした。が、氷漬けになったはずのヤブランマウスの口が、突如オレンジ色に輝き、そこから体を包んでいた氷が、みるみるうちに溶けていく。 「いけない! ヤブランマウスは炎を噴くんです!! 凍化は効きません!」 「何じゃと!?」 「え!? じゃあ何なら効くの!?」 「ええと…凍化以外の法術か……あとは物理攻撃でしょうか……」  クレイはチラリとダイアン(マリー)を見た。というのもクレイは元々学者なので、攻撃力には自信が無い。しかもこのクエストにモンスター退治を想定していなかったので、武器は城の研究室に置いたままの丸腰だった。  ダイアン(マリー)吸血猫(ダイアン)を探した。下水口から飛び出した彼は、そこから十数メートル程離れた水路の側面に張り付きながら、こちらを……ヤブランマウスの様子を窺っている。  すっかり氷の解けたヤブランマウスは、ブルブルと体を震わせて水気を飛ばすと、今度は法術攻撃してきたジュリアに狙いを定め、また唸り声を上げる。 「ちょっと~~!! 私ネズミ嫌いだってばぁ~~!!」  震えた足でジュリアが一歩二歩と後ずさりすると、怯えているのが伝わったのか、ヤブランマウスは大きな口を開けてニヤつき、喉の奥を鳴らした。そして次の瞬間、勢いよく炎の息を吐き出す。炎はゴオオオという音と共に、ジュリアの立っていた辺りを包み込んだ。咄嗟にその場へしゃがみ込んで防御したジュリアは、背中に焼け付くような熱の衝撃を待ったが、それはいくら待っても来なかった。  何故ならヤブランマウスの吐き出した炎は、ジュリアの遥か上空に逸れていたからだ。ヤブランマウスの脇腹に、ダイアン(マリー)の蹴りが入っていた。しかしそれは致命傷にはなっておらず、少しよろけて頭を振ったヤブランマウスは、標的を攻撃してきたダイアン(マリー)へとまた戻す。 (あいつ……まだ俺の体を使いこなせてない癖に、無茶しやがって!)  怒り心頭に発したヤブランマウスが空に向かって咆哮すると、ダイアン(マリー)へ向かって猛スピードで突進する。それを避けられなかったダイアン(マリー)の体は、もろに体当たりを喰らい、水路の壁へと打ち付けられた。標的がぐったりしたのを見計らうと、ヤブランマウスは再び大きな口を開けてダイアン(マリー)に追撃し始める。
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