エピローグ:新しい仲間と旅立ちの時

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「大丈夫。普段のブーギィはとても大人しいし、ボクの言うことをよく聞く、いいモンスターだ。ただ今回は空腹状態がかなり続いたから……イライラしてあんなことに」 「ってことはまさか……」 「あぁ。さっき君達が獲ってくれたヤブランマウスを食べたばかりだ」 (いや待て待て待て! 涼しい顔で言ってっけど、ヤブランマウスがこのブーギィの何倍の大きさあったと思ってんだ!?)  公園で対峙していた時には、周囲を取り巻くつむじ風で全くわからなかったが、細長い体はせいぜい五十センチ程度、茶色い毛並みにクリッとした丸く大きな瞳、これが街を揺るがす大事件を引き起こした張本人とは思えない程、ブーギィの姿は愛らしい。だがこの小さくて可愛い毛玉のような生き物が、ダイアンの背丈程もあるネズミの化け物を既に平らげたというのだから、ゾッとする話だ。 (こいつの胃袋はブラックホールかよ!?) 「ブーギィの強さは、身に染みてわかっているだろう?」 「それはそうだが……餌はどうすんだよ?」 「一度の摂取量は凄いが、燃費はいい方だ。暫くは餌の心配は無いし、それにこれから君達が遭遇するであろうモンスターを貰えば……」 「それが狙いか!?」 「うん、まぁ…そうとも言う。でも、それだけじゃない……」 「ん?」  もずくのような前髪の隙間から、パフィは吸血猫(マリー)を見つめる。 (ボクを理解してくれる人間が、クレイ以外にもこの世界に存在するって知ったから……) 「何だよ?」  黙ってしまったパフィの顔を、訝しむようにダイアンが覗く。 (理解しない人間もいるだろうが……それに怯えるのはもうヤメだ) 「ギャギャギャギャ(いいんじゃないか)? ギャギャギャ(歓迎するぞ)」 「ありがとう、マリーさん」  パフィは口角を上げて、吸血猫(マリー)の肉球を両手でギュッと握った。パフィの肩口では、ブーギィがふわ~っと大きな欠伸をしている。 「おい! 勝手に盛り上がってんなよ!? 俺が吸血猫(マリー)の言葉わかんねぇからって、テキトーなこと言ってんじゃねぇだろな!? 俺はまだ賛成してないからな!!」  情けないダイアンの声が夜の街外れに響く。そんな二人と二匹を微笑ましく見守りながら、マスターは彼らにプランタンでの最後の酒を振舞うのだった。
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