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おばあちゃんはタロちゃんて可愛がっている。座布団から抱き上げるとわたしの座っている縁側までやって来て、自分の横に置いて日向ぼっこさせている。機械だから日向ぼっこなんて必要ないよ。わたしが言うと、おばあちゃんはタロちゃんだって太陽が大好きなのよ。なんて言いながら、つるつるしたプラスチックを撫でている。顔も何も変わらないのに、おばあちゃんは喜んでると笑う。よく分からない。
「おばあちゃん。うちのねねに会いにおいでよ。ねねはもっとたくさん動くよ。もっと笑うし、もっと色んなことが出来るよ!」
縁側で足をぶらぶらさせながらわたしが言う。おばあちゃんは剥いてくれたみかんをわたしに差し出しながら笑う。
「わたしはおばあちゃんだからね。体が痛くて遠くに行けないんじゃよ」
「そうなの?じゃあねねを散歩に連れてきてあげる」
「ほほ。うれしいねえ」
でも、それからしばらくわたしはおばあちゃんの家には行かなかった、雨が降ったら散歩はお休み。ねねは体が濡れるのを嫌うから、雨の日に散歩に行きたがらない。
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