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眠り?黒服の女の人はわたしに家に上がるように言ってきた。おばあちゃんはわたしがこんにちは!と挨拶するといつもお入りと家に入れてくれた。みかんも剥いてくれたし、一緒にお汁粉を食べたこともある。わたしはねねのリードを縁側の足に縛ってから、戸惑いながら家に上がる。女の人が大人の人の間に入って連れて行ってくれた。おばあちゃんがいた。手を組んで真っ白な着物みたいなのを着て眠ってる。
「おばあちゃん?こんにちは!ねぇ、起きて、今日は約束してたねねを連れてきたんだよ!遊びに来たよ!なんでこんなところで変な格好して寝てるの?ねえ起きてよ」
黒服の大人の人が息を飲んだ音が聞こえた。どうしてか起きないおばあちゃんの手に触ろうと手を伸ばす。かさかさしててちょっと冷たい手。手を握るとわたしの手をあったかいねえってにこにこ笑ってくれた。でも今触った手はいつも以上に冷たかった。びっくりして手を引いてしまう。何があったの?どうして?頭がこんがらがる。そんなわたしの肩を女の人が優しく止めた。
「おばあちゃんは、長い眠りについたのよ」
よく分からない。
「……死んでしまったの。もう、動けないのよ」
黒い服の女の人に言われてようやくこの人たちがなんなのか知った。お葬式。死んでしまった人のお見送りする儀式。わたしのおじいちゃん、おばあちゃんはとても元気で、お葬式を見たことが無かった。これがそうなんだ。もう。動かないんだ。
「そんな。おばあちゃん、せっかく、ねねを連れてきたのに」
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