救い

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 忘年会は高山さん率いる六名と、うちを含めた取り引き先を合わせて十五名で行われた。  仕切りと盛り上げ方も良く、会は楽しく進んでいく。  あまり期待していなかったわたしも、楽しくなってくる。  高山さんは、各取り引き先の間を行ったり来たりの大忙しだ。若手も良く動く。 「いやあ、青山課長、佐藤さん、今年は本当にありがとうございました。来年も良い取り引きをよろしくお願いします! 改めて乾杯!」  そう言いながら、わたし達のところに来ると、あれやこれやと気を使う。そして合間に挟む会話も楽しい。  ふと、貴之と比べている自分がいた。出会った頃や、結婚当初の貴之を思い出す。いろんなところに連れていってもらったし、たくさんかまってもらった。いつからだろう? 今のようになったのは。なんか思い出を消化して暮らしてるみたいだ。 「佐藤さん、楽しんでる?」  高山さんの声が、わたしを引き戻す。 「はい。結構飲んで楽しんでますよ」  高山さんははにかんで答えた。 「なら良かった。参加して良かったでしょ? 俺は損はさせないから」  わたしは笑って、「はい」と短く返した。  会も滞りなく終わり、青山課長は男連中と夜の街に消えていった。  時間は八時半過ぎ。楽しかった余韻を引きずり帰ろうとするわたしに、高山さんが声をかけてきた。 「佐藤さん、まだ時間早いし、もう一件行こうよ」  確かにまだ時間は早い。貴之もまだ当然家には帰っていないだろう。  とまどっていると、高山さんがさらに押してくる。 「若いやつらに二次会は任せて、おれはお役御免。っていうか、佐藤さんと飲みたいから逃げたんだけどね」  
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