日本再生

「恵美梨のかんざし素敵。今日の着物に良く合ってる」
沙羅は、薄水色のクリスタルで拵(こしら)えた蝶のかんざしに、人差し指でそっと触れた。琥珀色のビーズのフリンジが、陽光を浴びて煌めいた。

「でしょ？ 駅前の雑貨屋さんで買ったの。なんと、二つで千円！」
恵美梨は顔の前でピースサインを作ると、ニッと笑った。チャームポイントの八重歯が、チラリと覗く。

「ええっ！ 何それ！ 私も行きたい！」
「いいけど、その前に……」

素早くスマホを操作すると、恵美梨は沙羅の目の前に、それを翳(かざ)した。

「これ見て！ 駅前に新しくできた、あんみつ屋さん！ ここで画像アップすると、今なら二ポイント貰えるらしい！」
「マジで！？ それは見逃せない！」

スパンコールを散りばめたショッキングピンクの着物の袖を捲(まく)り上げ、沙羅が身を乗り出した。