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「お詫びにご飯でも食べに行かない?」
栞里はまた拓海に深入りすることを少し躊躇したが、優しい拓海の表情と、もう少し一緒に過ごしたいという気持ちに素直に従う事にした。
2人は駅前の少しお洒落な居酒屋に入り、メニューに目を落とすと食べたい物を言い合った。
「ちゃんと自分の意見を自然に言ってくれるようになったね」
ニコニコと笑いながら嬉しそうに拓海は言ってコートを脱いだ。
「遠慮しなくていいっていいましたよね」
少し照れたように栞里は言葉を発すると、運ばれてきたビールに口を付けた。そんな様子を見て拓海もビールを一気に半分ぐらい飲むと大きく息を吐いた。
「うん、美味い」
美味しそうにビールを飲む姿に栞里はふと疑問をぶつけた。
「拓海さんビール派ですか?」
「うん?酒なら大概なんでも大丈夫だよ。まあ、でもビールは好きかな。栞里ちゃんは?まだ寒いけどビールだよね」
「私も、父が昔からビールばかりの人で……つい。ビールって。可愛げないですけど」
どんどん小さくなっていく栞里の声を拓海は笑って聞いていた。
「別に女の子がビール頼んじゃいけないなんて誰が決めたの?」
「合コンとかでもやっぱり女の子ってカクテルとか甘めのお酒頼むじゃないですか……。私それがどうもできなくて」
「別にしなくていいんじゃないの?そんなの。飲みたいもの飲めば。」
「そうなんですけど……」
「そんな事気にしなくてもいいよ。栞里ちゃんはかわいいよ」
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