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少しお酒も回り栞里はふわふわとした頭で拓海の話を聞いていた。
「栞里ちゃん?大丈夫?」
「はい、大丈夫ですよ」
そんな栞里に水を渡すと拓海は苦笑した。
「ごめん、ちょっと飲ませすぎちゃったかな?」
「だいじょうぶです」
ふふっと笑う栞里に拓海は苦笑した。
「大丈夫じゃないね。送ってくよ」
そう言ってコートを手に立ち会った拓海を見て、栞里も慌てて立ち上がった。
「あっ、慌てないで。ただでさえ危なっかしいのに」
そう言って拓海は栞里の手を取ると店を出た。
「うー、まだ寒いな……」
「えー、わたし暑いです。ふふふ」
楽しそうに拓海を栞里は見上げた。
「栞里ちゃんは、酔っぱらうと危なっかしいね」
「え?何かいいました?」
「なんでもないよ」
そういと拓海はタクシーを止め、栞里を乗せると栞里の家へと向かった。
終始楽しそうな栞里の様子を拓海は見ていた。
拓海に寄り掛かるように、甘えたになった栞里に拓海は戸惑いながらもそんな栞里を優しく見つめていた。
「じゃあ、ちゃんと布団に入って寝るんだよ」
タクシーが栞里の家の前に着くと、拓海は栞里に声を掛けた。
「はーい。わかってます。ふふっ」
拓海は心配になりタクシーを降りるか悩んだ。しかし……。
「早く行って。中に入るまで見てるから」
その言葉に栞里はニコニコと手を振ると、中へと入っていった。
心配そうに見つめる拓海の視線は、まったく栞里は気づいていなかった。
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