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「お疲れ様です」
「栞里ちゃん、今日もよろしくね」
裏口から入り用意をして店内に入ると、カウンターの中にいた友里の笑顔に出迎えられ、栞里も笑顔を見せながら準備を始めた。
そんな栞里に唐突に友里は声を掛けた。
「今日は木曜日ね」
栞里はドキンとして、反射的に友里に顔を見た。
「なに?彼に会う事はそんなに嬉しくないの?」
「嬉しくないって訳じゃないんですけど……」
拓海と飲みに行った日の翌朝、頭の痛みと共に目が覚めて半分しかない記憶に慌てた。
あの日は目の前にいる拓海に緊張もあり自分の許容範囲を超えて飲みすぎていた。
すぐに、謝罪のLINEを送ると【気にしないで】と返信がすぐに届き安堵していたが、実際にあの後会うのは今日が初めてだ。
断片的な記憶だったが、甘えたように拓海に寄り掛かった事、わざわざ送ってもらった事、迷惑を掛けた事だけははっきりしているだけに会うのか怖かった。
(もしかして今日はきてくれないんじゃ?)
そんな不安が頭を過った。
そんな不安は到底言える訳もなく、最近ずっと頭を占めている事を友里にぶつけた。
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