楽しき日々

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楽しき日々

「栞里ちゃん」 不意に後ろから声を掛けられ栞里は振り返った。 「拓海さん…。お仕事帰りですか?」 「うん。栞里ちゃんは?バイト帰り?」 「はい」 最寄駅が一緒だが、帰りが一緒になったのは初めてで栞里は拓海をそっと見上げた。 「どうした?」 「初めて帰りに会ったなって思って」 拓海が無言になったのを疑問に思い、栞里は不安な面持ちで15㎝は高いその顔を見上げた。 「ごめん。俺は何度か栞里ちゃん見た事あるんだ。実は」 拓海は少しバツの悪そうな顔をすると栞里を顔を向けた。 「え?」 「まだ声を掛ける前だったから、もちろんあの子だ……ってぐらいだけどね」 栞里はその言葉に顔が熱くなるのを感じた。 「私、変な顔とかしてなかったですか?」 慌てて言った栞里の声に、拓海はクックッと喉を鳴らした。 「してないよ。それにそんなにジッとストーカーみたいに見てないから」 「ストーカーなんて思ってないですけど……。なんか恥ずかしいじゃないですか」 少し睨むように言った栞里に拓海は『ごめん、ごめん』とポンと頭を叩いた。
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