学食と現実

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学食と現実

『厳しい就職戦線に挑むにあたっての大変重要なガイダンスです』 昨日の楽しかった思い出はあっさりと取り払われ、その繰り返される話を聞き、栞里は急に現実を突きつけられたようで大きくため息をついた。 講堂で行われたガイダンスが終わりぞろぞろと出ていく学生を栞里は見ていた。 「栞里行こう」 「うん」 その声に栞里も立ち上がるとその流れに入った。 もうすぐ春休みになる時期だが、この時期の3年は決して遊べるような気分ではなかった。 「なんか、一気に現実だね……」 あゆみのセリフに栞里も頷いた。 3月1日より就職活動の広報活動が本格的に開始になるとともに、4月から4年になる栞里にとって就職活動が本格的に開始になる。その現実が一気に社会人へのリアリティを増した。 就職活動時期が変更になった事もあり、この時期の学生は就職活動に焦りを感じる事も少なくなかった。 聞きたい事があっても、先輩達は卒業していない。 そんな不安が栞里達を襲った。
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