第三章 「狐の涙」

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 どれだけ歩き回っただろうか。目的地は近いって話だったはずだ。  百目鬼は小首を傾げていた。  愛莉もまた小首を傾げていた。  百目鬼と愛莉の目的地は同じだったようだ。だが、その場所に行き着くことができないらしい。 「おかしい、おかしい」 「どうした、まだつかないのか。何がおかしいんだ。もう日が暮れてしまったぞ。百目鬼、わざとやっているんじゃないだろうな」 「まさか、そんなことはしない。どうもおかしいんだ」 「百目鬼の言う通り、ここおかしいよ。同じところをグルグル回っているみたい」  愛莉は百目鬼に同意してあたりに目を向けている。  そういえばそうかもしれない。十分で着くと言っていたはずなのに、すでに一時間くらいは経っている。着いてもおかしくはないはず。どうなっているのだろうか。まさか、狐の仕業なのか。 「ふん、狐だな。迷わせているのは」  鬼猫も同じことを考えていたようだ。  どうしたものか。 「これは結界を張られたのだろう」  結界。大和は大黒様に目を向けると真剣な面持ちで剣を持ち上げてきた。 「この剣を」 「大黒、待て。それはダメだ」 「なぜだ」  鬼猫は大黒になにやら耳打ちをしていた。少し不服そうに大黒様はしていた。
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