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「それじゃ、この鏡は使えないかな」
「んっ、鏡か。それは鬼猫鎮神社の神鏡だろう。道を示してくれるかもしれぬ。愛莉やってみろ」
愛莉は嬉しそうにして鏡を掲げた。月明かりが鏡に反射してある一点を照らした。
ブロック塀があるだけだ。結界を解かなくてはやはり無理なのだろう。それなのに愛莉はブロック塀へと足を向けた。
「ちょっと愛莉ちゃん」
「大丈夫、行ける。勾玉が『光の示す先へ行きなさい』と告げているの」
そうなのか。
鬼猫はその言葉に頷き愛莉についていく。百目鬼も大黒様も恵比寿様もブロック塀へと進む。行くしかない。意を決して大和もブロック塀へ向かった。本当に通れるだろうか。愛莉の様子を窺っていると、愛莉がブロック塀に思いっきり膝をぶつけて蹲った。
やっぱり通れないじゃないか。
「あれ、おかしいな。通れると思ったのに」
***
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