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「あのさ、赤茶トラのこの子貰えないかな」
「んっ、この子かい。かまわないよ。けど、まだチーちゃんから引き離すのは早過ぎるからね。半年くらいは一緒にいさせてあげてくれるかい。どっちにしろ毎日ここへは来るんだから問題ないだろう」
大和は頷き「それにしても可愛いな」と呟いた。
「そうだねぇ。可愛いねぇ」
照はしわくちゃな笑顔をして子猫をみつめている。その横で幸吉も同じような顔をしている。
「あっ、この赤茶トラの子は『ネオン』って名前に決めたから」
「おや、早いこと。それじゃ他の子の名前はどうするんだい」
「うーん、幸吉さんと照さんで決めてよ。ちょっと思い浮かばないからさ」
「そうかい、それなら……。三毛猫はおそらく女の子だから、チーの子だしチコでいいかねぇ。キジトラのほうは男の子だろうか、女の子だろうか。幸吉さんどう思う」
「うむ、男の子でも女の子でも通じる名前にしておこうか。キジトラだから、うーん、キトとかどうだろう」
幸吉と照がこっちに向いて返事を待っていた。
えっ、決定するのは自分なのか。そう思ったが、チコとキトか。いいと思う。けど、キトって男の子っぽいような。まあ、女の子でも問題ないか。確認すればすぐにわかるけど、チーが守っている感じだから今はやめておこう。
「いいんじゃないのかな。可愛い名前だと思うし」
「じゃ、決まりだねぇ。ということで、モチモチ饅頭いただこうかねぇ」
「そうしよう」
幸吉と照とともに大和はチーのところから離れて居間に座り照の入れてくれた緑茶とともにモチモチ饅頭を頬張る。やっぱりこのモチモチの食感が堪らない。中はクリームチーズなのもいい。ただ緑茶はどうなのだろう。緑茶も良い香りで美味しいけど、牛乳のほうが合うかも。
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