第一章 「鬼猫来る」

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 ガタガタガタ、ドタン。  んっ、なんだ。  大和は飛び起きて窓のほうに目を向けた。物音はもうしていない。カーテンが閉まっていて外の様子はわからないがここは二階だ。窓を揺らすような人はいないだろう。なら、さっきの音は……。夢でも見ていたのだろうか。もしくは幽霊かも。  電気をつけて部屋を確認したが特に変わった様子もない。  時計の針は午前二時二十二分だった。丑三つ時じゃないか。やっぱり幽霊の仕業かも。家鳴りって可能性もある。妖怪は見たことがないから見てみたい気もする。  どうしようか迷ったあげく窓を開けて外の様子を窺ってみた。誰もいないか。  んっ、なんだこれ。窓の端っこのほうに紙が貼り付いていた。大和は紙を取ると首を捻った。 『気をつけろ、おまえも狙われるかもしれない』  そう記されていた。狙われるって誰に。  んっ、これは。『鬼猫』と署名がされていた。  まさか、新聞記事に載っていた鬼猫か。これはどう説明すればいいのだろう。わけがわからない。誰かの悪戯か。すぐにかぶりを振った。ここは二階だ。ありえない。なら、そのまま受け入れるべきか。鬼猫からの伝言として。そうだとして、鬼猫って誰だ。猫なのか。それとも妖怪か。人の名前ってことはないと思うけど。そうとも言いきれないか。なんだか頭が混乱してきた。一旦、リセットしよう。  大和は深呼吸をして空を見上げた。星が瞬いていて綺麗だった。淡い光を湛えている月も綺麗だ。満月ではないが、ほぼ真ん丸で癒される。なんとなく風も心地いい。
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