第一章 「鬼猫来る」

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「これって」 「代々伝わる音場家の家宝だ。ご先祖様の魂が宿っているからな、愛莉を守ってくれるだろう」 「ありがとう、お祖父ちゃん」  愛莉は勾玉を首から下げると身体があたたかくなった。同時に父と母が脳裏に浮かび応援してくれていると感じられた。 「それはそうと、行先の心当たりはあるのか」 「全然ないの」 「ならどうするつもりだ」 「とりあえず、鬼猫さんたちの気を探ってみるつもり」 「そうか、無理はするなよ」  愛莉は頷き勾玉にそっと手を触れた。温もりがあって心が落ち着く。不思議とうまくいくと思えた。 「お祖父ちゃん、行って来るね」 「ああ、気をつけるんだぞ」 ***
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