第二章 「怨霊退治」

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「みつけたぞ」  背後からの声に背筋がゾクゾクとした。 「鬼ども成敗してくれる」  成瀬だ。以前とずいぶん雰囲気が違う。やつれた顔をしている。取り憑いた怨霊の影響だろうか。ぎらつく目で睨みつけられると震えがくる。こけた頬と眼の下のクマ、飛び出しそうな眼球。大和は死神を連想してしまった。変わり果てた姿だが成瀬だとわかる。  成瀬はどこから仕入れてきたのか日本刀を手にしていた。盗んだのだろうか。ニヤリと不敵な笑みを湛えて刀を鞘から引き抜き近づいてくる。  このままだと間違いなく殺される。  なにか対抗する武器はないだろうか。そう思ったがすぐに考えを改めた。ここには幸吉と照もいる。戦うよりもここは逃げるが勝ちだ。大和は急いで車に乗り込み幸吉に早く車をだしてくれと叫んだ。  幸吉は最初どうしたという顔をしていたが、大和の指差すほうを見遣りすぐに車を出した。 「大和、外にいた奴はあの猫殺しじゃなかったか」 「そうだよ。あいつネオンを狙っていたんだよ」 「なんて奴だ。あっ、通報しなきゃ」  照は車の後方に目を向けていたが「どうやら大丈夫みたいだね」とホッとした顔をしていた。大和はスマホを取り出して警察に通報をした。  大丈夫じゃない。きっとあいつはまた現れるはずだ。成瀬は追っては来られないだろうけど、取り憑いている源頼光は追ってこられるはず。なのに、その気配は感じない。なぜだろう。  なにか企んでいるのだろうか。とりあえず幸吉と照に被害が及ばなかったことにホッとしつつ大和は後ろを見続けた。 ***
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