第二章 「怨霊退治」

31/37
前へ
/157ページ
次へ
「スマホ、えっとどこ置いたっけ。ああ、スマホがない」  なんだスマホがみつからないのか。大和は愛莉のスマホに電話をかけた。  どこかで着信音が鳴っている。 「あっ、ゴミ箱から鳴っている」  ゴミ箱になんでスマホが。捨てるわけがない。なら、偶然ゴミ箱に落ちたのだろうか。まったくしかたがない奴だ。  スマホを手に取り愛莉は苦笑いを浮かべた。 「本当だ。こんなに着信履歴がある。LINEもメールまである。気づかなかった」  そりゃゴミ箱にあったら気がつかないだろう。 「それで、何か言うことがあるんじゃないのかな」 「ごめんなさい」  大和はフッと微笑み「こっちこそ、遅くなってごめん」とたこ焼きを渡して今日あったことを話した。鬼猫はじっと二人の会話に耳を傾けていて一言も口を利かない。なぜかはわからないけどそれならそれでいい。 「えっ、大和も襲われたの。そうだったんだ」 「もしかして、愛莉ちゃんも」 「そうなの。怪しい場所をみつけたの。どこの家かはわからないんだけど、感じたの。間違いなく何かがいる。一人じゃ無理だからみんなで行ってほしいと思って」  そう話したとき、はじめて鬼猫が口を開いた。 「それはここから近いのか」 「ええ、そうね」 「やっぱり愛莉は帰れ。危険だ」 「何よ、愛莉だって役に立つわよ」 「だが、どうにも気にかかる。ただの怨霊の仕業ではない気がする。それだけではない。大黒と蹴速と連絡が取れなくなった。やられてしまったのかもしれない」 「嘘でしょ。大黒様とあの力士が。信じられない」  愛莉の言う通りだ。大黒様と力士は相当の力の持ち主に思える。連絡が取れないって。本当にやられてしまったのだろうか。成瀬は人だ。やられたとしたら源頼光のほうか。そこまでの凄腕だったのだろうか。
/157ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加