第二章 「怨霊退治」

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「すみませんでした。訂正です。成瀬容疑者は自殺ではなく他殺の可能性もあるようです。成瀬容疑者の右目だけがなぜか奪われていたとのことです。ただ血文字で『命を奪うことだけはしたくはなかった。猫は好きだったのに』とあったそうです。成瀬容疑者は自殺なのか他殺なのか……」  ニュースキャスターが話した言葉に思わず動きを止めた。どういうことだ。成瀬は殺されたのか。そんな馬鹿な。まさか源頼光の仕業だろうか。そうは思えない。右目が奪われたって……。他にも何者かが関わっているってことか。  それはそうと血文字はどう説明する。遺書ともとれなくはない。血文字が成瀬の本心かもしれない。  状況を考えるとやっぱり殺されたってことだろうか。自分で目玉を取り出すなんてことありえない。想像しただけで気持ち悪くなってくる。  こんな事態になっているというのに、大黒と蹴速はなにをしているのだろう。やっぱり二人とも殺されてしまったのだろうか。音沙汰がないのはおかしい。  ふと窓の外を見遣り、思わず大声をあげてしまった。 「なによ、びっくりするじゃない」  大和は窓の外を指差した。  愛莉と鬼猫の動きが止まり窓の外に釘付けとなった。 ***
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