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「誰か、誰か、助けて」
「ふん、命乞いか。人とは弱いものだ。自分勝手で醜い存在だ。おまえらがわらわたちを排除したのだぞ。その報いを受けることが当然ではないか。鬼猫はそんな人を救おうとしている。許せるはずがない」
「ごめんなさい。ごめんなさい。僕が悪かったの。だから、もうやめて」
「うるさい、黙っていろ。おまえはわらわにみんな苦しめと願っていればよい」
徹は隣にいるパパの袖を掴んで「パパ、起きてよ」と力ない言葉を投げかけた。
「くそっ、どいつもこいつも許せん。すぐに裏切る人間など許せるはずがない。それなのに、守ろうとする奴がいる。なぜだ」
「パパ、ママ」
「うるさいぞ、人の子」
「ごめんなさい」
徹は涙目になりながら謝り口を閉ざした。
なんで、どうして。自分は馬鹿だ。これじゃ自分をいじめたみんなと同じじゃないか。いや、自分のほうが悪いかも。何もかもなかったことにしてほしい。
『ごめんなさい。パパ、ママ。僕いい子になるから誰か助けて』
徹は心の中で強く願った。
ポチャン。
あれ、なんだろう水音がする。気のせいだろうか。
***
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