暖かい手

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「結局お咎めなしか」 「チビ春も無事だったしな。それよりあのまま居座って「ところで罰の件ですが」などと言ってみろ、空気が読めんこと山の如しだぞ。後日改めて謝罪を求めれば良かろう」 「そう言ってヤドリギの実をせびるつもり?」 「せびるとは人聞きの悪い。誠意の証として受け取るのだ。人形の力を貯めた実だからな、使い道は無限大だぞ」 呆れたような右門さんと、機嫌が良さそうな左門さん。 私は二人に挟まれて、森の中を歩きながら家路についていた。それはいいのだけれど…… 「あのう、これは一体……」 控えめに両手を振ってみる。 何故私は、二人に手を引かれているのでしょうか。 「子供から目を離すと危ないからな」 左手を引く左門さんが真剣な表情で言い放ち、 「そうそう、これならアヤカシが小春を狙っても対応できるし」 右手を引く右門さんが優しく私に笑いかける。 「こ、子供じゃありませんっ!」 「右門、チビ春に何か持たすか。猫の鈴みたいな居場所がわかるやつ」 「それいいね、左門。早速行商人を呼ぼう」 「猫でもないです!!」 私を何だと思ってるんですか! むくれて二人を交互に睨み上げるけれど、何故だか楽しそうに笑われる。右門さんはともかく、左門さんまで笑ってるとはどういうことだ。 心配かけてごめんなさいとか助けに来てくれてありがとうとか、伝えたい想いが色々あったけれど、やっぱり止めた!中止! もう絶対言うもんか。 繋いだ手のぬくもりが、嬉しいだなんて。
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