3人が本棚に入れています
本棚に追加
「結局お咎めなしか」
「チビ春も無事だったしな。それよりあのまま居座って「ところで罰の件ですが」などと言ってみろ、空気が読めんこと山の如しだぞ。後日改めて謝罪を求めれば良かろう」
「そう言ってヤドリギの実をせびるつもり?」
「せびるとは人聞きの悪い。誠意の証として受け取るのだ。人形の力を貯めた実だからな、使い道は無限大だぞ」
呆れたような右門さんと、機嫌が良さそうな左門さん。
私は二人に挟まれて、森の中を歩きながら家路についていた。それはいいのだけれど……
「あのう、これは一体……」
控えめに両手を振ってみる。
何故私は、二人に手を引かれているのでしょうか。
「子供から目を離すと危ないからな」
左手を引く左門さんが真剣な表情で言い放ち、
「そうそう、これならアヤカシが小春を狙っても対応できるし」
右手を引く右門さんが優しく私に笑いかける。
「こ、子供じゃありませんっ!」
「右門、チビ春に何か持たすか。猫の鈴みたいな居場所がわかるやつ」
「それいいね、左門。早速行商人を呼ぼう」
「猫でもないです!!」
私を何だと思ってるんですか!
むくれて二人を交互に睨み上げるけれど、何故だか楽しそうに笑われる。右門さんはともかく、左門さんまで笑ってるとはどういうことだ。
心配かけてごめんなさいとか助けに来てくれてありがとうとか、伝えたい想いが色々あったけれど、やっぱり止めた!中止!
もう絶対言うもんか。
繋いだ手のぬくもりが、嬉しいだなんて。
最初のコメントを投稿しよう!