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一章 ホットドッグ
右手には荒野、左には大海原
空にあるのは曇りのない澄んだ青空で、地面から続いているのはひたすらにその空に続いているような一本道だった。
悪夢にうなされるように日々を過ごし、このままでは壊れてしまう、そう感じた少年のやったことは自分の世界をぶち壊すことだった。
この一本道を進んでいるバイクの持ち主が誰かわからない。
もういい、開き直ってしまえとそのまま乗ってしまったのだ。
鍵は御誂え向きについたままだった。
何だ・・・何事もやってしまえばその程度なのか。
何故、こんなことが出来なくて苦しんでいたのだろう。
ひたすらに前だけを見る。
ゴールなどなくても一歩ずつ見据えた先に向かうだけ。
少年は解き放たれた世界でそんなことを考えていた。
海岸線にホットドッグの移動販売車が止まったいた。
目がチカチカするような赤色の塗装だったのが、今では少しくすんでいる。
長くこの商売をやってきた風格なのかそれとも潮風の為せる技なのか。
少年は赤を基調としたデザインはそんなに好きではなかった。
自己主張の強すぎる感じがどうしても彼にはかみ合わなかった。
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