なつの日

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   大島晴彦が泣き出した一件以降、俺たちは行動を共にする時間が多くなっていた。 休み時間や移動、下校と、口約束を交わした覚えはないが、示し合わせたかのように 自然と一緒に過ごした。 時々、会話のラリーが続いていくと雑な物言いも飛び出てきて、 俺の中での「マジメくん」の姿は次第に薄れた。 クラスも少なく二年生も同じで、高校最後の三年で離れた。 けれど、隣同士ということもあり相変わらず休み時間や昼飯は一緒にしていた。  ふつうに、友達として最高だったんだ。 流行りの話や俺の苦手な恋愛話もせず、 ただ静かに昨日の夕飯のこととか、購買の菓子パンで一番うまいものは何かとか、 苦手な科目のことを、ヘンゼルとグレーテルが歩きながら落としていくパンのように、 大事なものを惜しんで差し出してくれるようで、その時間がとても心地よかった。
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