坊ちゃん

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坊ちゃん

「坊ちゃん、そろそろ学校の時間ですよ」  室隆史はいつもそうやって起こされる。  中途半端に返事をした1分後、隆史はのそのそとベッドから起き上がり、ささっと制服に着替えて、2階から食卓のある1階へと移動する。   「おはようございます」  すでに朝食を終え、お茶をすすりながら新聞を飲んでいる祖父に挨拶をして、自分の席に着く。  両手を合わせて、朝食をいただく。  隆史の朝食時間は10分。  かなりのハイペースでご飯と味噌汁、目玉焼きと納豆をかき込み、朝の洗面を済ませたら自転車に乗り、駅までまっしぐらにペダルを漕ぐ。  駅に着くのは、決まって6時半前後。起きてから、その間30分。    その30分間で、隆史は普通の高校生に戻る。
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