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夢湯治は、全国でも屈指の温泉県にあり、周りは緑で囲まれ、その地を象徴する山「鶴由岳」を一望できる、それは恵まれた環境にあった。
四季折々の景色があり、露天風呂から望む鶴由岳は、それぞれの季節で全く異なった顔を見せ、温泉好きの熟年ファンには隠れた名湯として知られていた。
その一方で、最近は温泉リゾート施設なるものがいくつも建設されており、老舗の夢湯治には、今までと違った思考の展開が求められていた。
夢湯治のメンバーも会議を開いては、斬新かつ伝統を活かした案を思案してきたものの、これといって大当たりはなかった。
そこで直面した、経営者の死。
地元の根強い顧客はいるものの、夢湯治は今、大きな岐路に立たされていた。
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