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かかり湯をした後、入念に身体を洗い、その後ゆっくりと、そして波がたたないよう、静かに湯に浸かった。
肩までしっかりと湯に浸かり、全身で身体に沁みてくる温泉を感じながら、『良い一日の終わり』、『自分にとっての温泉とは何か』そんなことを考えた。
身体の各箇所で感じる温もり、脱力していく自分を感じながら、頭で考えることはいつしかできなくなり、彼は湯を後にした。
脱衣室で身体を拭きながら、この心地よい感覚、何とも言い難い気持ちの良さがそのまま答えなのではないかと、ふと思ったりもした。
隆史は少しずつ、自分の中における父の言葉を、自分のやり方で整理していった。
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