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「もちろん、先代のやり方を否定するわけじゃありませんよ。
ただ、時代の流れに、今の夢湯治は合ってるのかなって…。
この地域には、もうすぐ温泉リゾート施設が建設されるでしょ?
ウチのお客さん、みんな持ってかれるんじゃないかって…
新しいお客さんも、みんな向こうへ行っちゃったらどうしようって…
ちょっと心配になったりするんです」
「なるほど」
隆史は好美の言葉を素直に受け止めた。
「好美さんの中に、そこを打破できそうなアイデアって、あったりするの?」
隆史は聞いた。
「そうですね…。
温泉ってみんなのものではあるけど、けっこう女性のお客さんを重要視した方がいいのかなって思います。
女性に優しい温泉は、たぶん男性にも優しくて、心地よいんじゃないかしら?
女性目線の工夫を、この夢湯治に入れたら…とかは思っちゃいますかね。
具体的なものはまだないけど」
好美は宙を眺めながら、答えた。
「女性の視点か…。
なるほどね。好美さん、ありがとう」
隆史は好美に礼を言うと、すぐに自分の部屋へと戻っていった。
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