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「そう。
温泉屋にとっては、それが一番の喜びじゃないですか。
一日の疲れを、この夢湯治で洗い流して、また新しい活力を得て、家へと帰っていただく。
この上ない喜びですよ。これは」
美香は自慢げに答えた。
「だから、基本的に夢湯治はこのままがいいと思うんです。
ただ…」
「ただ?」
「年齢層が高いのは事実ですね。
最近は噂を聞いて、遠方からやってくる若い方もおられますが、それでもお客さんの7割はご高齢の方ですね。
ご高齢の方にも、そしてお若い観光客の方にも、その両方に満足してもらえる温泉って…
それがこれからの夢湯治に必要なことかもしれませんね」
美香は真剣な面持ちで答えた。
「高齢者にも若い方にも満足してもらえる温泉かぁ…
美香さん、ありがとう。なんかヒントをもらったよ」
隆史は美香にお礼をいって、休憩室を後にした。
美香は笑顔で隆史に手を振って、昼食を摂ることにした。
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