温泉戦争

オープン

　夏休みに入る前、隆史はクラスの同級生に温泉について、それとなく聞いてみた。

　しかし、同級生のみんなは古びた温泉よりも、新しく建設されている温泉リゾート施設の方に興味があるらしく、古い温泉には関心を向けていなかった。

「そうか…。
　やっぱり若い人たちは、昔からある温泉よりも、新しい温泉施設の方が好きなんだな…」
　隆史は少し自信を無くした。

　一方で、同級生の一部の中には、古びた温泉を好む者もいて、
「この前、家族で古民家風の温泉へ行ったんだけど、コンクリートで造られた温泉よりも、なんか温かみがあってね。
　ゆっくりした時間を過ごせたのが、とてもよかった。

　たまには、ああいう温泉もいいなぁって思ったよ」

　感じ方は人それぞれ。
　隆史はそれを聞いて、元気が湧いてくるのを感じた。