オープン

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 夏休みに入った。  夏休みの間、隆史は夢湯治の仕事をなるべく手伝うことにした。  その年の夏は例年になく暑く、茹だるような暑さが連日続いていた。  夢湯治には汗を流す客で連日賑わっていた。  夢湯治のある町は標高500m付近で、避暑地としても知られていたため、その時は県外からの客も多く訪れていた。  一日観光をして、ここで汗を流して、帰路に着く。そんな客が大勢いた。  受付を任されている美香はひっきりなしに続く客を笑顔でもてなし、昼夜忙しく働いていた。  隆史はそれを手伝うべく、時々は受付に立った。    それは肉体的にも、精神的にも大変な仕事で、次々と来る客を待たせることなく、流れるように受付を済ませなければならない。  しかも全員に笑顔で、悪い印象を与えないように気を配りながらも、お金の計算を間違わずに行わなければならない。  隆史は初めて受付の大変さを知り、美香の手際の良さ、頭の回転に脱帽した。
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