オープン

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 時には正弘について、温泉を引いている配管の点検をしたり、好美についてタオルやアメニティの整備をするなど、その仕事を1つ1つ確認した。  どの仕事も夢湯治にはなくてはならない仕事で、1つとして楽な仕事はなかった。  働くとは大変なことだと、改めて思い知らされた。  ただ、そこには充実感もあった。  温泉客の中には、夢湯治の事情を知っている者もおり、そんな客から、 「おぉ、若旦那!しっかり頑張りよ!」  と声を掛けられると、自然と笑みになり、元気が湧いた。  丁寧にお礼を述べ、『夢湯治を、もっと皆さんから喜んでもらえる温泉に育てる』といった決意を、より一層強くするのだった。  そして、源治について温泉内を掃除したり、地区の会合にも参加した。  近隣には昔からある温泉の組合があり、いつも父が参加していたのだが、父亡き後は源治が代理で参加していた。  その会合に、隆史は初めて参加した。
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