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どの温泉も客足はまずまずといったところだが、温泉リゾート施設については頭を悩ませているようだった。
参加者全員でこの町をアピールして、全国の方々にこの町のことを知ってもらいたい。
そして1回でも足を運んでもらって、よい思い出を作ってもらいたい。
そんな気概を感じた会合だった。
『自分は1人じゃない』
隆史は会合の帰り道、そんなことを思った。
今までは夢湯治のことばかりを考えていたが、この町にある温泉は夢湯治ばかりではない。
宿泊できる温泉もあるし、いくつもの温泉を兼ね備えた同業者もいて、それぞれ個性ある温泉場が集まった場所に夢湯治があることを、改めて感じた。
ただそれだけではなく、皆がこの町を大事に思っていることも分かった。
隆史の意識は夢湯治ばかりでなく、町全体のことへと広がっていった。
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