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改 革
『西日本 最大級の温泉リゾート』
『1日遊んで しっかり食べて 最後は温泉でまったりと…』
そんなキャッチフレーズを大々的に掲げ、温泉リゾート施設「オーシャン・スパ」の門は開かれた。
本来は夏にオープンしたかったようだが、工事が間に合わず、この時期になったそうだ。
それでも何とか秋の紅葉シーズン、年末年始には間に合わせてきた。
前々から分かってはいたものの、町にある温泉場は動揺した。
『とうとう来るべきものがきた…』
そんな感覚だった。
しかし、当の隆史に特別焦りはなかった。
ただ山の麓にどっしりと構えたそのリゾート施設は、まるで城のような趣で、遠くからこちらを見下しているように見えた。
それが少々気に食わなかったが、これからどんな局面を迎えるのか、それを冷静に見極めようと思った。
その前に、夢湯治の三代目として、やれる準備はやろうと考えていた。
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