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「夢湯治には昔から贔屓にしてくれているお客さんがいます。
この地で生まれ、育った方々。
この地に越してきた方々。そしてそのご家族。
そういった方々をまず大切にすること。
夢湯治に来て、温泉に入って、一日の疲れを癒してもらい、明日への活力を養ってもらう。
それが、先々代、先代から受け継いだ、僕の守っていくべきことだと思います。
それに加えて、噂を聞いて来てくれる観光客の方々。
遠路はるばるこの夢湯治に来てくれた方々にも、満足して帰ってもらいたい。
笑顔を届けたい。
これが、これから僕がやっていかなきゃいけないことだと思います」
隆史は続けた。
「そしてもう1つ。
この町にも貢献すること。
今まで夢湯治は温泉以外に特に物産を扱ったりはしていませんでした。
ただ、これからはこの町一丸となって、新しく参入される事業に対抗していかなければ、生き残っていけないかもしれない。
もっと、この町を知れるような工夫が必要だと思いました。
それらのことと、皆さんの意見も踏まえて、次のことを提案したいと思います」
隆史は用意していた1枚の資料を配った。
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