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「お二人には申し訳ないのですが…
既に本人には伝えてあります。
ご本人から強い希望がありました。
今は隠すよりも、本人に告知するのが主流でしてね…」
医師は申し訳なさそうに、そう言った。
「先生…
源治さんの余命って、あとどれくらい…?」
智美は恐る恐る聞いた。
担当医師は一旦目を閉じて、その顔の前に手を組んで、
「6ヶ月…くらいかと…」
智美と隆史を交互に見ながら、そう言った。
6ヶ月…
その言葉はあまりに無情に感じた。
しかしそれが医師の正直な見込みなのだろう。
そして、その事実を本人は知っている…
その上で、まだ夢湯治へ戻る気でいるのか。
隆史の思考は完全に膠着した。
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