24人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
皆の心配をよそに、源治はいつもと変わらず働いた。
そうしているうちに、梅雨が明け、暑い夏がやってきた。
避暑地で知られるこの町には、梅雨前と同様の活気が蘇った。
当然、夢湯治も忙しくなった。
2つの大浴場はもちろん、五右衛門風呂の予約も多くなり、従業員たち自分の持ち場以外の場所にも足を運び働いた。
いつもパソコンの前にいる拓海が受付に立つ日もあった。
忙しい毎日が続いたが、みんなは充実していた。
みんないい顔をしていた。
源治が元気でいてくれることが、夢湯治全体を元気にしていた。
世間が夏休みに入ると、町全体の客が増え、ますます忙しさは増した。
皆、休日返上で働く中、その事件は起こった。
源治が入院したのだ。
最初のコメントを投稿しよう!