半 生①

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 一方、源治は静かだった。  自分の半生。夢湯治とともに生きてきた。  破天荒な青年期だった。  それを救ってくれたのが、先々代の主、今のご隠居だった。  行く宛ての無い自分を、家族同然として迎え入れ、一から風呂のことを教えてくれた。  初めて人の優しさに、温もりに触れ、自分の存在を肯定できた。  それから40数年。  先代とも力を合わせて、一心不乱に夢湯治と共に歩んできた。  そして今、3代目にもお世話になって。  俺は戻りたい。  でも、身体が言うことを聞かなくなってきた。  もう年かな。  最後に、若旦那に会いたい。  若旦那に会って、俺の想いを伝えよう。  源治は病院のベッドを半分上げて、窓の外を見ながら、自分の死期を予感した。    そんな最中、病室の扉が開いた。
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