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「おはよう源治さん。体調はどう?」
隆史が立っていた。
「あぁ、若旦那。
体調は変わらずです。
今、少し弱気になっていたところでしてね」
源治は笑いながらいった。
皺の増えた顔が、更に皺くちゃになった。
隆史は近くの椅子に腰かけた。
「夢湯治の方はどうですか?繁盛してますか?」
「うん。
夏休みももう終わりだから、忙しさのピークは過ぎたって感じだよ。
なんせ今年の夏は暑かったから…おかげで繁盛させてもらいました」
隆史は自分の汗を拭いながら言った。
「若旦那…」
「はい?」
「私の半生を…聞いてもらいたいのですが…よいですか?」
源治は自分の膝にかけられた薄い毛布をぼんやり見つけながら言った。
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