半 生②

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 夢湯治の亭主は源治をひとまず風呂に入れてやった。  とやかく理由は聞かなかった。  見るところ、行く宛てもない流れ者というのが分かったのだろう。  源治の話を親身に聞いてやりながら、ひとまず一晩泊まっていけと言ってくれた。  温かい夕食をごちそうになり、源治はこの土地の温かさに触れた。  次の日、亭主に手伝いを願い出て、風呂掃除や庭掃除を手伝った。  掃除が終わると源治は亭主の前に土下座して、願い出ていた。 「もし可能なら…ここに雇っていただけませんか?  私にはもう行く宛てはありません。  家に戻ったところで、何があるわけではありません。  給料はいりません。  ただ…この土地で生かせていただけんでしょうか?」  源治は一心に亭主にお願いした。無茶苦茶な申し出とは重々分かっている。  しかし、源治にはそれしか方法がなかった。  亭主は一旦黙り込んだものの、優しく源治の肩を叩き、部屋を用意してくれた。  その日から、源治の夢湯治での第二の人生が始まった。
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