半 生②

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 源治は小さな借家を借りた。  六畳一間、共同温泉、共同トイレの、それはそれは古びた借家だった。  源治はそこから夢湯治へと通うようになった。  そして毎月、少ないながらも給与をいただくようになり、少しずつまともな生活ができるようになっていった。  少し丘を上がったところに小さな神社があった。  ほとんど参拝客のいない地元の神社。  源治は孤独を感じた時は、必ずそこへと出向き、村を見下ろした。  田園風景の広がるその光景は、秋になるとたくさんの稲穂で埋め尽くされ、金色に輝いていた。  それを見ると、源治は自分の腹から無限の力が湧き出て来るのを感じた。
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