半 生②

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「ごめんなさい。驚かせちゃったみたいね」  女性は微笑みながら謝った。 「いえ…」  源治は伏し目がちに返答した。  その女性は若く、源治と同じか、年下に見えた。  小柄で髪が長く、朝日に照らされたその姿は、とても清楚な印象を与えた。 「雲海を見るのは…初めて?」  女性が話しかけてきた。  源治は戸惑いながらも、「…はい」と一言だけ答えた。 「ここは山に囲まれた土地だから…霧が出るとなかなか抜けにくい土地なんです。  おかげで高台に上がると、今日のような素晴らしい雲海に出会えるんですけど」  女性は目の前に広がる雲海を見ながら言った。
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