半 生②

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「今日はどうかと思って来たけど、来てよかった。  こんな雲海は久しぶり」  そうか…。とても珍しい光景なんだ。  源治は初めて朝にここへ来たので知らなかった。  朝はこんなにもすごい景色があったとは。 「よくここに来られるんですか?」  うっとりと雲海を眺めていると、となりで女性が言った。  突然かけられた言葉に、一瞬びくっとなったが、すぐに平静を取り戻して答えた。 「はい。  休みの日とか、時間があったら…ですね。  でも、朝来たのは初めてで…こんな凄い景色が見られるとは思いませんでした」  源治は正直に答えた。  女性はまた笑みを浮かべながら、頷いた。 「ここは雲海が見られる穴場なんですよ。  ただし湿度が高くて、ある程度気温が低くないとダメなんですけどね」  そういうと「では、私はこれで」と言い残し、彼女はその場を後にした。  源治はその後姿に一礼して、しばらくその景色を堪能した後、自分の借家へと戻っていた。
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