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進むべき道
夢湯治は、夏や秋は休まず営業することもあったが、基本的に毎週火曜日が定休日だった。
次の火曜日、隆史は1人、夢湯治の温泉に入った。
夢湯治には4つの温泉がある。
1つは『春桜』
扉を開けると15名ほどが入れる、天然の岩で囲まれた湯場がある。
洗い場を通ると天然の岩でこしらえた階段を2段下りて、湯に浸かる。
大きな窓からは鶴由岳が一望できる。
2つ目は『秋月』
こちらも15名ほどが入れる大衆浴場で、檜で囲まれた湯場が左右に2つある。
周りには洗い場があり、ゆったりとした空間を味わえる。
『春桜』と『秋月』はどちらも大衆浴場で、月ごとに男湯と女湯を入れ替えていた。
あとの2つは『夏時鳥』と『冬暖』
こちらはどちらも家族風呂で、『夏時鳥』は岩風呂、『冬暖』は檜風呂で、5~6名入れる広さを有していた。
その日、隆史は1人で『夏時鳥』に入った。
そして、父から言われたことを思い返していた。
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