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隆史は、昼間は夢湯治の仕事を手伝いながら、夜になるとノートを広げて、考えた。
夢湯治にあって、大型温泉施設にないもの。
大型温泉施設にあって、夢湯治にないもの。
そこに夢湯治の良さを見つけられる気がした。
同時に、夢湯治の弱さも発見できる気がした。
ノートにはこれまで従業員のみんなからもらった意見も記述してある。
そこにこの夏休みで経験して感じたことも、書き加えていった。
『思うとおりに進め』
『お客さんの笑顔を忘れない』
ノートに綴られているその言葉を確認して、いつも眠りについた。
夏休みが終わり、季節は秋へと移っていた頃、温泉リゾート施設が完成。
そして華々しくオープンした。
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