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居間へと移動すると、父さんとばあちゃんがこたつを囲んでいて、母さんはキッチンの方で準備をしているようだった。
ばあちゃんが先に気づいて「あら、顕くん。お帰りなさい。あけましておめでとうございます」と小さくお辞儀をする。
「ああ、あけましておめでとう」
と父さんの向かえに並んで座った。
ばあちゃんは、真唯子に顔を向けると
「わざわざこんな遠いところまで来てくれて、ありがとね」
持ち前の柔らかい物腰で語るので、場が和む。
「こちらこそ、突然のことなのに、お招きいただいてありがとうございます」
互いの自己紹介を終えると
「同じ職場だと聞いたけど、ちゃんと仕事してるのか、こいつ」と父さんが笑いながら尋ねた。
「はい。顕人さん、成績優秀ですし、部下からも慕われていますよ。私も沢山サポートしてもらっているので、本当に感謝してます。働いてる姿も、かっこいいのでお見せしたいくらいですよ」と、平然とのろけるようなことを言うので、恥ずかしくなり目を逸らした。
父さんはニヤニヤして、なぜかばあちゃんは「そうかい、そうかい。顕くんのことが、かっこいいのかい」と頷いて涙ぐんでいる。
どこに感動する要素があったかはわからない。
真唯子は「はい」と、ニコニコしているので、動揺している自分がおかしい気もして、気を取り直した。
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