《恋人と音信不通になりました》

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「課長のあの氷のような冷ややかな目を見せてあげたかったよ」 私は言う。 「課長の冷ややかな目……想像するだけでブリザードの中に行けますね」 と、中村は寒気がしたのか、両肩をさすった。 にしても、あれ以上見られなくて良かったな。 せっかく休みをとるなら、遠くでもいいかななんて「タイ、バンコク。アユタヤ遺跡」「オーストラリア」と、海外旅行のチラシも持ってきたんだ。 先月、有給を使って旅行に行ったばかりだから、さらなる悪態をつかれるに違いなかった。セーフ。 彼氏のことを考えると、どうしていいかわかんなくて、現実逃避したくなったせいだ。 ひとり旅でもするかなんて気分になっちゃったんだよね。 何か見つめ返せそうな感じはするし。 よく言うよね。自分探しとかさ。 って、普段の生活の中から自分を見失ってるやつが旅行行っただけで探せると思うなよ。 ふっと笑いたくなると、若槻が私に言った。
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