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「あんなに大量にパンフレット持ってどこか行く予定なんですか？ 彼氏と旅行？」
すぐに答えられなかった。
「なんすか。彼氏っすか？ 羨ましいっすよ、本当に。んで彼氏とどこ行くんですか？」と、中村もかぶせるように訊いてくる。
「いや一人旅……」
「一人旅？」と、二人が声を揃えて驚く。
「も、いいかなーなんて」
若槻が目を細めて私を見た。
「彼氏さんと、何かあったんですか？」
「……」
「いや、それがさ一週間くらい連絡とれないんだよねー」
私はあまり自分の恋愛話をしないほうだと思う。
人に言うほど変わったこともなかったし。
だからこんな恋愛相談、しかも怪しい雲行きの話をすることも照れくさいし笑いながら伝えてしまう。
「一週間」
深刻そうな顔をするのは中村で、若槻は冷静に「先輩からは連絡したんですか？ 彼、仕事忙しい時期だったりします？」と質問する。
「私から電話何回かしてみたけど、音沙汰なくて。今はそんな忙しいとか言ってなかったかな。というか忙しくても連絡はとってたし」
「彼氏んちは行ったっすか？」
「……行ってない」
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